SLコマンド on touch bar

新しいMacBook Proのtouch barで走るSLコマンドを作りました。
(touch barシュミレータでしか動作確認してませんが。)


https://raw.githubusercontent.com/NeoCat/sl_on_touchbar/master/sample.png



オリジナルのようにオプション(-a, -l, -F)には対応していません。


ソース(Swift)は以下。ビルド済みのバイナリも入ってます。
https://github.com/NeoCat/sl_on_touchbar


追記: 新しいmacOSでは、開発元が確認できないので開けない、というエラーが出ますが、一度 中にある「sl_on_touchbar」というappをctrlクリックして開くを選択すると、エラーダイアログに「開く」というボタンが現れますので、これをクリックすると以降は普通に開けるようになります。


なおビルドとシミュレータの動作にはmacOS Sierra 10.12.2 beta (16C41b)以降、XCode 8.2 beta以降が必要です。


slが走っている間はウィンドウのフォーカスが奪われるので、実質何も操作できなくなります。端末しか占拠しない普通のSLコマンド以上にうざいです。


これは、touch barに何か出すにはアプリケーションのウィンドウを手前に出している必要があるため。
普通のSLコマンドのような使用感を得るために、UIElement=YESにしてDockアイコンが出ないようにしたアプリケーションを起動してサイズ0×0のウィンドウをこっそり開くことで、touch barへの描画権を得ています。こいつが常に手前に出るせいでフォーカスが奪われるというわけです。

SL画像の差し替え [11/16追記]

「長い列車写真」の情報をコメントでいただいたので、touch barにこの写真を流せるようにしました。
slコマンドの引数か、環境変数 SL_IMAGE のいずれかに写真ファイル(高さを60ピクセルにしてください)へのパスを設定しておくと、そのファイルの画像が使われます。

参考: https://github.com/avatsaev/touchbar_nyancat

ESP8266でNAT(NAPT)でWi-Fiを中継する

ESP8266(ESP-WROOM-02)を最近よく使っています。

ESP8266を使ったセンサを、Wi-Fiアクセスポイントから遠い、直接電波の届きにくい場所に置きたかったため、ESP8266をもう一つ使ってWi-Fiの到達範囲を拡張する中継機にした(といってもブリッジではなくNAPTルータ)という話です。


とその前に軽くESP8266について紹介しておくと…(もう知ってる方は読み飛ばしてください)

ESP8266の紹介

ESP8266は無線LANモジュールです。購入した状態では外部のマイコンからATコマンドで制御できます。が、LX106という32bit MCUを搭載しており、このモジュール単体でArduino IDEからプログラミングして動作させることが可能です。この方が圧倒的に便利なので、私自身はATコマンドで使ったことはありません。
しかも安価(単体なら400円台)ですし、ESP-WROOM-02技適も取得していて安心して使え、AVRと比べて高性能(CPUクロック80〜160MHz, 4MBフラッシュ, 36KB RAM)。アナログ入力も1ch搭載していて、センサ・アクチュエータ等を簡単にネットワーク接続できるので非常に便利です。


Arduinoとして利用する方法は下記などが参考になります。
技適済み格安高性能Wi-FiモジュールESP8266をArduinoIDEを使ってIoT開発する為の環境準備を10分でやる方法 - Qiita


なお開発時はモジュール単体よりも、下記のようなブレークアウトボード・開発ボードを購入するのが良いでしょう。特にESPr DeveloperはUSBを接続するだけでいきなり開発が始められ、シリアル変換や書き込みモード設定など気にしなくて済むので非常に楽です(お値段はしますが)。
ESP-WROOM-02ピッチ変換済みモジュール《フル版》 - スイッチサイエンス
ESPr® Developer(ピンソケット実装済) - スイッチサイエンス


ちなみにシリアルでスケッチを書き込むと、ファームウェアが大きいため*1転送に少し時間がかかりますが、Wi-Fi経由で高速にアップロードすることも可能です。
ESP-WROOM-02 + ArduinoOTAでスケッチのWiFi経由アップロード - Qiita


他にもLua等でもプログラミングが可能なファームウェアもあります。
ESP8266(ESP-WROOM-02)自分的まとめ - 半空洞男女関係

Wi-Fiのモード

ESP8266は、自身がWi-FiのアクセスポイントになるWIFI_APモード、既設のWi-Fiアクセスポイントに接続するWIFI_STAモードの両方をサポートしています。
しかしこれ以外にWIFI_AP_STAという、他のアクセスポイントに接続しつつ、同時に自分もアクセスポイントとして他のクライアントからのWi-Fi接続を受け付けるということができます。(ちなみにArduino化した直後のデフォルトではこのモードになっているため、明示的にモード指定していないと ESP_xxxxxx というSSIDが発信されています。APのON/OFFやSSID等の設定はフラッシュに不揮発に保存され、前回の値が電源ONに設定されます。)


モードの切り替えは以下のようにWiFi.mode()を使用します。

const char *ssid = "ParentAP";
const char *password = "********";

const char *ap_ssid = "ESPap";
const char *ap_password = "ESPap_password";
...
  WiFi.mode(WIFI_AP_STA);  // モード設定

  WiFi.softAP(ap_ssid, ap_password);  // APのSSID・パスワード設定
  IPAddress myIP = WiFi.softAPIP();   // APとしてのIPアドレスを取得。デフォルトは 192.168.4.1 ?
  Serial.print("AP IP address: ");
  Serial.println(myIP);

  WiFi.begin(ssid, password);  // 別のAPに接続


子端末になるESP8266では、上記のap_ssidに対してWiFi.begin()で接続することになります。こうすると以下のような接続状態になります。

 親AP(192.168.10.1) <=> (192.168.10.x) ESP8266 (AP: 192.168.4.1) <=> (192.168.4.y)子端末

なお、親と子で別のサブネットのアドレスになっていないと(少なくとも親ネットワーク側からは)通信不能となるのでご注意を。


IPアドレスDHCPで自動的に設定されます(静的に指定もできます)。
また、ESP8266WiFiMultiを使って複数の接続先SSIDを指定しておけば、接続できる方に自動接続するということも可能です。詳しくはWiFiMultiというサンプルスケッチを見てください。

Wi-Fi中継の方法

親APとクライアントに同時接続できるということは、Wi-Fi中継機として使えるのでは?と思うわけですが、そのままでは中継機能(IP_FORWARD)は無効化されており、SDKに含まれるIPスタック(lwip)の設定を変更する必要があります。

参考: ESP8266 lwip IP_FORWARD/routing - ESP8266 Developer Zone


これにより、親APのネットワークとESP8266 APのネットワークの間でパケットが転送されるようになります。しかし、これだけでは親APやそのネットワーク内の各端末に「192.168.4.0/24 にアクセスするには 192.168.10.x をルータとして使う」というルーティング情報を設定しないと、通信が行えません(子端末からのパケットはESP8266がデフォルトゲートウェイになるので設定しなくとも親APのネットワークに出て行けますが、その応答パケットが戻っていくためのルーティング情報を設定しないと応答が得られません)。


この設定を不要にする方法として、普通のルータで使われている方式としてNAT(正確にはNAPT)があります。子端末から親ネットワークに出ていく際にソースアドレスをESP8266のもの(192.168.10.x)に書き換えておき、逆にこれに対する応答パケットが来た際には適切に子端末宛てに書き換えるというものです。(戻り先を特定するためにはセッション管理が必要になります。)


なお他にネットワークブリッジとして機能させることも考えられますが、こちらは色々ルーティングに改造を加えないと難しい気がして手を出していません。

NATを実装する

esp8266のSDKのlwipをざっと眺めたところ、NATの機能はないようでしたので、自分で実装してみました。


変更の内容はGitHubに置いてあります。
https://github.com/NeoCat/esp8266-Arduino/commit/4108c8dbced7769c75bcbb9ed880f1d3f178bcbe
上記のバグ修正コミット
https://github.com/NeoCat/esp8266-Arduino/commit/634dfb5f60e902c681c95712bc7455e24773667d


ボードマネージャ等でESP8266のライブラリを導入している場合は、以下のパッチを当てることで対応できます。
https://gist.github.com/NeoCat/da3c141813980edaa256ad351cab3a2c (バグ修正コミットを含む差分)


上記からRaw(またはDownload ZIP)でパッチを適当な場所に保存し、Macであれば端末から

$ cd ~/Library/Arduino15/packages/esp8266
$ patch -p1 < (保存した場所)/0001-Adds-NAPT-and-port-mapping-functionality-to-esp8266-.patch

とすればパッチを適用できます。適用後、lwipを再コンパイルする必要があります。

$ cd hardware/esp8266/2.3.0/tools
$ ln -s ../../../../tools/xtensa-lx106-elf-gcc/1.20.0-* xtensa-lx106-elf
$ cd sdk/lwip/src
$ make && make release  #=> intalled to ../../lib/liblwip_gcc.a


パッチを適用したら、Arduinoのスケッチ内で以下のようにすることでNATを有効化できます。

#define IP_PROTO_TCP     6
#define IP_PROTO_UDP     17
// SDKに追加した関数のプロトタイプ宣言
extern "C" {
  void ip_napt_enable(unsigned long addr, int enable);
  void ip_portmap_add(byte proto, unsigned long maddr, unsigned short mport,
                      unsigned long daddr, unsigned short dport);
  bool ip_portmap_remove(byte proto, unsigned short mport);
}
...
    // WiFi.begin等の後で
    ip_napt_enable(WiFi.softAPIP(), 1);

これ以降、子端末からのTCP/UDP/ICMP(pingのみ)のパケットは親ネットワークにアドレス変更の上で転送され、応答も対応付けてアドレス変換されます。
なおTCP, UDPの送信元ポート番号(1024以上)も重複を避けるために変換対象になります。


親ネットワークから子端末のTCP/UDPサーバにアクセスするためには、ESP8266の特定ポートを子端末にマッピングする必要があります。このためにはスケッチから、

        ip_portmap_add(IP_PROTO_TCP, WiFi.localIP(), 8080,
                                     IPAddress(192,168,4,3), 80);

のように、対象プロトコル(TCPまたはUDP)、ESP8266上のマッピングするポート、転送先となる子端末のIPアドレス、ポートを指定します。
この例では、親ネットワークから 192.168.10.x:8080 にアクセスすると、子端末192.168.4.3の80番ポート(Webサーバ)に接続できます。
ポートマッピングを解除するには、以下のようにします。

        ip_portmap_remove(IP_PROTO_TCP, 8080);

なお実装上、1つの宛先(アドレス+ポート)に対しては1つのポートしかマッピングできず、同一の宛先を複数ポートにマップすると動作がおかしくなるのでご注意ください。

制限事項

  • NATテーブルがメモリ(グローバル変数領域)を消費する。エントリ数は512となっていますが、これだと12KB消費します。子端末がせいぜい1,2セッションくらいしか張らないならこんなに要らないので、パッチ中の IP_NAPT_MAX を32等に小さくすれば、メモリを節約できます。(エントリはセッション切断後もタイムアウトするまでしばらく残るので、多めにしないと新たな接続ができなくなります。)逆にPC等をクライアントにしてしまうと、512でギリギリ足りるかどうかといったところです。
  • そんなに速度は出ません。単一TCPセッションのみで測ってみると1MB/s出たら良い方という感じです。センサーデータを送るくらいなら十分すぎますが、PCとかスマートフォンを接続するのには向かないでしょう。
  • TCPセッション管理がやや適当。TCPシーケンス番号を管理していない
  • ICMPパケットのping以外のメッセージに対応していない
  • 1つの宛先(アドレス+ポート)あたり1つのポートマッピングしかできない(NAPTエントリの数を節約するため)
  • AS-ISなので、どこか何かバグってるかも?(言い訳)

*1:ネットワークスタック等のファームウェアも含まれているため

keyhacでNICOLA配列を実現する

macOS Sierraにアップデートしたところ、キー配列をカスタマイズするKarabinerが利用できなくなってしまいました。


Karabinerは非常に様々なカスタマイズに対応していたため、不便な思いをしている人も多そう。
私はNICOLA配列(いわゆる親指シフト入力)で日本語を入力するのにKarabinerを使っていたのですが、これができなくなっていました。
親指シフトは同時押し(シフトキーを押しながら文字キーを押すだけでなく、文字キーを押してからシフトキーを押し下げても良い)が特徴のため、単純なキーの置き換えだけができるツールでは再現ができません。

そんな折、以下のページでkeyhacという、Pythonで高度にキー配列をカスタマイズできるツールを知りました。


macOS SierraでKarabinerが動かなくて困っている人に贈る代替ソフトウェア


Keyhac - Pythonによる柔軟なキーカスタマイズツール - craftware


これならというわけで、JIS配列キーボード/ローマ字設定の環境向けにNICOLA配列を実現する設定を書いてみました。設定といっても普通にPythonのプログラムです。この記事も、これでNICOLA配列にした状態で書いています。

設定の仕方

keyhacを起動し、メニューバーに表示されたアイコンメニューから"設定の編集"を選ぶと、TextEditで設定ファイルが開きます。そこに、本記事末尾のコードをコピペして上書きします。デフォルトの設定はいろんな機能のサンプルが入っていて意図しない動作になったりするので消すか無効化したほうがいいでしょう。
なお、TextEditは勝手にクォート("")を“”などと置き換えてしまうので、編集→自動置換→スマート引用符の設定は切ってから編集したほうがいいでしょう。
シフトキーの設定は SHIFT_KEY = ["左親指シフトキー", "右親指シフトキー"] のように書きます。キーの名称は、keyhacのメニューから"端末を表示"し、同じくメニューから"内部ログ ON"にしてタイプしてみれば確認できます。
設定を書いたら保存して、再度メニューから"設定のリロード"を選べば準備完了です。

使い方

かなキーを押すとNICOLA配列が有効化され、英数キーを押すと無効化されます。
親指シフトキーは同時押しが可能です。具体的には、親指シフトキーの押下前後40ms以内に文字キーが押されると一回だけ効くようになっています。文字キーの後でシフトキーを押下した場合に対応するため、文字キー単体で入力された場合は最大40msだけキーダウンが遅延されます(キーアップするか親指シフトキーが押されれば直ちに入力されます)。この判定時間はSHIFT_MSとSHIFT_DURATIONを両方とも変更することで、個々人の好みに合わせて調整が可能です。
一応これでそれなりに機能しているようですが、文字キー → 親指シフトキー → 文字キー と高速打鍵すると意図しない方の文字にシフトが効いたりすることも稀にあるため、まだ改善の余地があるかもしれません*1

さらなるカスタマイズ…

キー配列は TABLE という辞書を編集することでカスタマイズが可能です。各文字に対して/(スラッシュ)区切りで'シフトなし/左親指シフト/右親指シフト'という順にローマ字表記、または""でくくったキー名を書くようになっています。頑張ればorz配列等にも対応できるはずです。

この設定は下記のNICOLA-J配列を参考にしてますが、"[", "]", "^", "\" キーはそのままにしてあります。
http://nicola.sunicom.co.jp/image/nicola-j-implementation-sample.png


なおドキュメントはメニューのヘルプで見られますが、delayedCall などの一部の低レベルの機能は載っていないので、そういう細かい部分はkeyhacやその下位ライブラリのpyauto, ctkitのソースを見る必要があるかもしれません。

GitHub - crftwr/keyhac: python based key customization utility
GitHub - crftwr/pyauto: windows low-level feature library
GitHub - crftwr/ckit: craftware's base library

*1:文字キーを離す前に親指シフトキーを押した場合、どう判定するべきかが難しいところ。近い方の文字キーにすべきなのかもしれませんが、これを実現するには入力をタイマーで遅延させる必要があり、かなり複雑なことになりそう……。

USB直結のスクリーンセーバーブロッカー

USB直結スクリーンセーバーブロッカーを作ったツイートのまとめです。

なおArduino互換のため、Arduino IDEでボードの種類としてArduino Leopardを選択すればプログラムの書き込みが可能でした。

マイナンバーカードでSSHしてみた

マイナンバーカードでSSHする - AAA Blog


という記事が出ていたので、マイナンバーカードを使ったSSHログインをLinux上でやってみました。環境は出たばっかりのFedora 24です。

カードリーダーは、上記の記事のような非接触式ではなく、接触式のICカードリーダー NTTCom SCR3310を利用しました。


SCM ICカードリーダー/ライター B-CAS・住基カード対応 SCR3310/v2.0 【簡易パッケージ品】

SCM ICカードリーダー/ライター B-CAS・住基カード対応 SCR3310/v2.0 【簡易パッケージ品】


まずは必要なパッケージをインストール。カードリーダーをUSB接続し、スマートカードデーモンpcscdを起動します。

$ sudo dnf install openssl-devel readline-devel zlib-devel pcsc-lite pcsc-lite-devel pcsc-lite-ccid pcsc-tools
$ sudo systemctl start pcscd


開発中の個人番号カード対応版OpenSCをcloneしてきて、ビルド、インストールします。

$ git clone https://github.com/jpki/OpenSC.git
$ cd OpenSC
$ ./bootstrap
$ ./configure
$ make
$ sudo make install

ではカードをセットして、公開鍵を読み出しましょう。カードの裏表を間違えないように注意(ICチップの端子のある面が上)。間違ってると読めないというエラーになります。。

$ pkcs15-tool --read-ssh-key 1
Using reader with a card: NTT Communications Corp. SCR3310-NTTCom USB SmartCard Reader [Vendor Interface] 00 00
ssh-rsa *******...... User Authentication Certificate
zsh: bus error  sudo =pkcs15-tool --read-ssh-key 1

ってなんかバスエラーを起こしました。がとりあえず読めたから気にしない(何


これをコピペしてSSHサーバの ~/.ssh/authorized_keys に追加します。同一マシン(ローカルホスト)でもいいでしょう。


そうしておいて、ビルドしたOpenSCのPKCSモジュールを指定してSSHログインしてみると...

$ ssh 192.168.xx.yy -I /usr/local/lib/opensc-pkcs11.so
Enter PIN for 'JPKI (User Authentication PIN)': **** ← 公的個人認証用の4桁のPIN番号
Last login: Fri Jun 24 00:37:23 2016 from 192.168.xx.zz
$ 

無事ログインできました。


なおPIN番号は3回間違えると閉塞されてしまい役所で手続きが必要になるのでご注意を。。
(3種類ある4桁の暗証番号のうちの、利用者証明用電子証明書の(マイナポータルへのログイン、コンビニでの公的な証明書の交付などで使う)PIN番号です。)


他に

$ pkcs15-tool -c 

で認証用証明書のシリアル番号などを確認したり、

$ pkcs15-tool -r 1 

で認証用証明書の情報を読み出し、ファイルにコピペして(リダイレクトするとSEGVするせいで書き出されない…)

$ openssl x509 -text -noout -in <ファイル名>

などとすると有効期限や発行者の情報(自治体とか)が確認できます。認証用証明書の方にはマイナンバーはもちろん、住所や氏名などは入っていないことが確認できます。

C++11/14でrange based forで指定回数Loopする

for (int i = 0; i < 10; i++) { ... }

って何度も書くのがだるいので、range based forを使って楽にしたい。要するに、

for (auto i : 10_) { ... }

で10回ループできるようにしたいね、という話。他の変数の回数分ループするなら

int x = 3;
for (auto i : Loop(x)) { ... }

などとする。


なお、ループ変数を途中で書き換えたいという不届きな向きには

for (auto& i : 10_) { ...; i += 2; }

などとすれば良い。auto&&でも良い。


なおあまり複雑なオブジェクトをrangeに渡してしまうと最適化が効きにくくなるという弊害が出てしまうので、最初の表現とほぼ等価に展開されるようなものを渡したい。どうやって実現するかというと、range based for

for ( range_declaration : range_expression ) loop_statement

において、range_expression が begin(), end()メソッドを持つ場合は

{
  auto && __range = range_expression;
  for (auto __begin = range_expression.begin(), __end = range_expression.end(); __begin != __end; ++__begin) {
    range_declaration = *__begin;
    loop_statement
  }
}

と等価ということになっている。まずカウンタが取れるように、operator*がループ変数の参照を返すようにすれば良いだろう。終了判定は __begin != __end の部分なので、operator!=を適当に書き換えてやればよさそうである。あとoperator++(&)でインクリメント。


というわけでこんな感じになった。Apple clang-703.0.31(-std=c++14)とg++5.1(-std=c++14)で確認。
clangの方で確認した限り、一応STLを使ったりしても、-O2あたりの結果をディスアセンブルしてみると普通にfor loopを書いた時と同等の最適化がされるようである(もっと複雑な場合だと変わってくるのかもしれないが未確認)。


http://ideone.com/n9zYGV

template <typename T>
class LoopTemplate {
	T max, cnt;
public:
	LoopTemplate(T max) : max(max), cnt(0) {}
	LoopTemplate(T min, T max) : max(max), cnt(min) {}
	LoopTemplate& begin() {
		return *this;
	}
	LoopTemplate& operator++() {
		cnt++;
		return *this;
	}
	T& operator*() {
		return cnt;
	}
	bool operator!=(LoopTemplate&) {
		return cnt < max;
	}
	LoopTemplate& end() {
		return *this;
	}
};
typedef LoopTemplate<long> Loop;
LoopTemplate<unsigned long long> operator "" _(unsigned long long n)
{
	return LoopTemplate<unsigned long long>(n);
}


/* Exapmle usage */
#include <iostream>

void f(unsigned long long i)
{
	std::cout << i << std::endl;
}

int main()
{
	for (auto i : 10_) {
		f(i);
	}

	int x  = 3;
	for (auto&& i : Loop(x)) {
		f(i);
	}

	return 0;
}

zshでネットワーク経由のファイル転送

zsh(とtar)を使ってネットワーク経由のファイル転送を効率的に行う方法についてです。
ARMボード(RaspberryPiとかPCduino等)を使っていると、scpなどでホスト間で大きなファイル転送をする際に、CPUネックになりがち。rsyncやscpするときに暗号をarcfour等にする*1ことでCPU使用率を低減する方法もありますが、そもそもLAN内等で暗号化しなくても良い場合もあります。こういうとき、単一のファイルであれば、

受信側(host1): nc -l 12345 >file
送信側(host2): nc host1 12345 <file

とncを使えばOK。(ポートがファイアウォールで塞がれていないことが前提ですが。)


複数のファイルだと

受信側(host1): nc -l 12345 | tar vxf -
送信側(host2): tar vcf - files/* | nc host1 12345

のように転送する方法がありますが、これだとパイプ経由でのデータコピーのためにncによってCPU使用率が上がってしまい、単発の場合と比べて性能が悪くなってしまいます。


bashであれば、送信側についてはncを経由せずに、

tar vcf - files >/dev/tcp/host1/12345

とすることで直接TCPソケットに書き出せます。が、受信側は知る限りこういった方法がありません。


zshであれば、標準でついてくるnet/tcpモジュールを使って、送受信側とも直接TCPソケットに読み書きさせることができます。

ただ、net/tcpが提供する各コマンドはシェルスクリプトTCPサーバを書くことを念頭に作られているようで、今回の目的にはローレベルのztcpコマンドを操作しないといけないようです。手動では若干面倒なので、.zshrc内にあらかじめ以下の関数を作っておきます。

function file_recv {
        if [ $# = 0 ]; then
                echo file_recv listen_port
                return
        fi
        (
        autoload -U tcp_open; tcp_open >/dev/null 2>/dev/null # define ztcp
        ztcp -l "$1"
        fd_listen=$REPLY
        echo "Waiting on port $1 (fd $fd_listen) ..."
        ztcp -a $fd_listen || echo failed.
        fd_accept=$REPLY
        echo "Connected. (fd $fd_accept)"
        tar vxf - <&$fd_accept
        ztcp -c $fd_listen
        ztcp -c $fd_accept
        )
}
function file_send {
        if [ $# -lt 3 ]; then
                echo file_send host port files ...
                return
        fi
        (
        autoload -U tcp_open; tcp_open >/dev/null 2>/dev/null # define ztcp
        ztcp "$1" "$2"
        shift 2
        tar vcf - "$@" >&$REPLY
        ztcp -c $REPLY
        )
}

あとは、

受信側(host1): file_recv 12345
送信側(host2): file_send host1 12345 files/*

とすればOKです。送信側は上記bashを使ってもOKです、その方が事前に準備要らないですからね。*2


しかしなんというか、ここまでするなら、tarも使わずsendfile(2)とかsplice(2)等を使ってユーザ空間でのコピーも避けられるようなさらに効率的な転送コマンドを用意する方がいい気がしてきた。


あと、tar vcf - ... の部分に任意のコマンドを指定できるようにした方が利用シーンが広がって有用かもしれない(効率のいいncとして使う)。

*1:参考: http://d.hatena.ne.jp/rx7/20101025/p1

*2:どちらから接続するかを入れ替えれば、"受信側は上記関数の準備不要"とするということもできるはず。